COVID19感染対策

精神科外来特性と感染対策

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内服薬を飲み忘れて精神症状が悪化して問診やマスクの着用ができないなど困ったことありませんか?

精神科施設正面玄関にて、発熱トリアージを行なっていると微熱がある外来患者が来院

でも、マスク着用せずに外来ホールに入り、缶ジュースを飲み始める。

周りには、外来患者さん・その付き添い家族も沢山いるな・・

どうすれば良いんだろう?と困っている貴方。

この記事を読めば感染対策のヒントになる

結論:感染症疑い患者用外来室を別にする。

  1. 他の患者動線と接触しない診察室
  2. 職員の手が洗える、手袋・マスク・ディスポエプロンが設置できる診察室
  3. 可能であれば陰圧装置があれば尚良い
  4. 職員動線など床にテープで動線矢印を貼っておくと統一しやすい

そもそも、問診が困難な患者も存在する。

外来診療室

デメリット

市中で流行している感染症が院内で一番入りやすい

診察室は、比較的狭く換気が行えにくい

初診の場合は、診察時間が長くなることが多い

患者の話を問診時に距離が1m以内になる。

医師との連携

・医師への個人防護具着脱トレーニング(特にN95マスク フィットチェック)

・医師の健康調査(複数の勤務先・病棟や部署を移動するため)

・手を洗える場所がない場合は、手指消毒剤設置(異食患者には注意する)

カウンセリング室、心理室

デメリット

・カウンセリング室は比較的狭まく、換気がしにくい

・児童の場合は、親の健康調査も必要(親と同室の場合もある)

・20分以上かかることが多い。(患者は、マスクを着用できないことが多い)

・患者との距離が1m以内のことが多い

・心理士の健康調査(他病棟に出入りする部署を固定が感染管理しやすい)

・可能であれば、空調をコントロールできる環境調整が望ましい

心理士との連携

・心理士のマスク着用については、心理検査に影響することもある

・心理士へのN95マスクの着用指導・フェイスシールド着用

・手指消毒・手洗い設備、廃棄物処理の環境調整

・カウンセリング室の環境清掃指導

・パーテーションなど設置

 

精神症状が悪化した場合の入院にはどのような場面があるか

向精神薬の飲み忘れや症状悪化に伴い、精神症状が悪化し自傷や他害が発生している患者も外来では見かける。

大声で叫ぶ、動かない、壁などを叩く・蹴る

このような場合、以下入院形態で病棟まで移動することがある。

入院形態(精神保健福祉法)

・任意入院

・医療保護入院

・措置入院

形態 内容 指定医診察 同意・措置者 書面告知
任意入院 本人の自由意志

精神保健指定医

診察で72時間、特定医師診察で12時間の退院制限可能

不要 本人
医療保護入院 精神保健指定医により、医療及び保護の入院が認められたもの

本人の同意が得られにくい場合の入院

家族等
措置入院 入院させなければ自傷他害の恐れがある精神障害者の入院 要(2名以上で診察結果が一致した場合) 都道府県知事

このように、措置入院や医療保護入院となった患者は、入院前の行動歴が不明の場合が多い

また、感染リスクが推測できないことがある。

検査の協力が得られる場合

・外来患者にサージカルマスクを着用させる

検査に協力を得られない場合

入院時検査の同意を得られず、数日入院してしまうケースもある

無理に検査をすると、患者・職員双方が受傷・感染曝露することもある。

内服薬や鎮静などを行う場合、酸素や吸引の配管がない場合、過鎮静への対策が整っていない病室もある。

このような患者が急性期病棟に入院する場合保護室が多い。

保護室は個室であるが壁の一部が円柱など隙間がある。

精神症状悪化の場合、大声で叫んだり円柱から唾を吐いたりする患者もいる。

このような場合どのような対策ができるか

感染症の判断が出るまでどうする?

(COVID19など市中で流行している感染症を念頭に置き個人防護具を着用する)

検査結果が出るまでの個人防護具の例

  • 外来での取り決めをマニュアル化し準備・周知を行う
  • 医師が患者説明時の個人防護グッズN95マスク・フェイスシールド、手袋
  • 病棟まで搬送する職員は、体動が激しい場合は、ゴーグル、N95マスク、手袋、長袖ディスポエプロンを着用し対応する
  • 病棟病室では、看護師ゴーグル、N95マスク、手袋、長袖ディスポエプロン

もっと保護室の構造を理解したい方へ図面がわかりやすくイメージしやすい本です


外来で患者さんにこのような症状があれば感染症に注意しましょう

症状 病原微生物(細菌・ウイルス)、原虫
発熱・咳・鼻水 COVID19、インフルエンザウイルス、RSウイルス、結核
嘔吐・下痢 COVID19、ノロウイルス、ロタウイルス
目が充血・目脂 アデノウイルス(流行性角結膜炎)
皮膚落屑、発疹 疥癬 水痘 麻疹 風疹 マダニ
 

まとめ

精神科外来での感染対策では、患者との距離が近くなる職種への個人防護具着用トレーニング

外来トリアージでの感染症疑い患者選別

精神症状が悪化し、マスク着用ができない患者対応のマニュアル作成

精神科感染対策への第1歩

外来は、治療薬を飲まずに精神症状が悪化した患者さんも来院します。

自傷して血だらけで暴れている。職員へ他害の恐れのある患者さんも対応することがあります。

つまり、患者さんはどのような感染症を持っているかわからず、さまざまな感染症

のリスクがある。

血液・体液で感染する微生物や街中で流行している感染症など感染症の有り・無しに関わらず全ての患者さんに対して標準的な感染予防策が必要となります。

詳しくは、精神科施設感染対策教育 標準予防策を読んでみてください。

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感染管理認定看護師・特定行為研修終了者 精神科施設で感染対策に従事。 精神科感染対策の難しさに直面、EBM・参考書も少ない中、同じ悩みをもつ人へ情報を提供したい。 感染対策でお困りの際は、ご連絡お願いいたします。 困っているテーマをブログで記事にしていきたいと思います。 X@sprig00761727(アカウント更新しました!)