個人防護具

精神科施設における感染対策教育の進め方③感染経路別予防策

精神科施設で働いていると感染症の伝播経路がわからない・・

精神科で結核患者が発生した場合、マスクはN95マスク?サージカルマスク?どっちだっけ。

じゃあ、職員はサージカルマスク?N95マスク?

換気もできないし・・おっと患者さんマスクできない

結核の感染は、手袋・ディスポエプロンいるのかな?

どのような個人防護具や対策をとればいいのかわからない貴方

この記事を読めばどうなるのか

結論

精神科施設の特徴や場面を想定した具体的な感染経路別予防策を学ぶことができる。

そもそも感染経路とは

病原微生物が人や動物などなどから他の人・動物などに移る経路のことで伝播経路と言われます。

COVID19のように空気感染(エアロゾル)、飛沫感染、接触感染と複数の経路を持つ場合もあります。

基本概念

感染防止の基本は、精神科施設での感染対策教育②標準予防策編で述べた通り、すべての人に対して適用する標準予防策が基本となります。

標準予防策では、感染経路を遮断できない場合は!

標準予防策感染経路別予防策

を追加して対策を行う。

感染経路予防策3つの分類

  1. 接触予防策
  2. 飛沫予防策
  3. 空気予防策

接触感染(contact transmission)

精神科でも最も遭遇する感染経路です。

こんな場面

直接接触:感染者の手や皮膚を介する経路

例:薬剤耐性菌患者を触れた手で消毒せずに次の患者さんの脈拍を測定した。

間接接触:汚染された環境や器具を介する経路

例:薬剤耐性菌患者に触れたあとにドアに触れ、鍵が汚染しポッケットに直しこむなど

どんな病原微生物がいるのか

薬剤耐性菌

MRSA メチシリン耐性黄色ブドウ球菌

ESBL 基質的拡張型ベータラクタマーゼ産生菌

Clostoridioides difficile

感染性胃腸炎

ノロウイルスやロタウイルス

患者配置 個室もしくは、同じ病原体を多少室に集める(コホーティング)
患者移送 室外は最小限、感染部位を覆う。
個人防護具 血液体液・汚染された環境・器具に触れる場合は、手指消毒、手袋、ディスポエプロン着用
器材の処理 ディスポーザブル製品が望ましい
環境整備 高頻度接触面(患者・職員が沢山触れる場所)

飛沫感染(droplet transmission)

病原微生物を含んだ5μm以上の飛沫が、1から2m以内にいる人の口・鼻・目の粘膜に付着することで感染が発生します。

精神科施設で発生する場面

  • 食事介助時、むせこむ場合(15分程度は時間を有する)
  • 集団作業療法時のカラオケ時
  • 精神症状が悪化し、大声で叫ぶ(当然マスクはできない)
  • 内服薬を服用するとき(粉薬時のむせ)
  • 歯磨き時のうがい
  • 喫煙場所(灰皿が1つの場合1m以内が多い)

飛沫感染で伝播する病原体

インフルエンザウイルス

ムンプスウイルス(おたふく風)

コロナウイルスなど

どのような対策を取ればよいのか

基本は、職員にサージカルマスク 患者サージカルマスク

(病原体が出るところ・入るところを塞ぐ)

精神科では、患者がマスクをはめる事が困難なケースが多い(病原体が出るところが全開)

つまり、口から排泄される飛沫をダイレクトに浴びてしまいます。

このケースでは、職員の鼻・口は防ぐことはできますが目の粘膜を防げません。

そのような場合、1mから2mで患者がマスクをはめれない状態であれば目の粘膜暴露を防止する必要があります。

ゴーグルもしくは、フェイスシールドが必要になります。(ケースに応じて)

患者配置 個室もしくは、同じ病原体を多少室に集める(コホーティング)

ベッドの距離を2m以上開けて、カーテンで仕切る

患者搬送 患者にサージカルマスク着用、患者は咳エチケット(困難なケースが多い)
個人防護具 職員・患者共にサージカルマスク
器材の処理 標準予防策の考え方、適切の洗浄・消毒・滅菌を選択
環境整備 高頻度接触面(患者が沢山触れる場所)カーテンなど

空気感染(airborne transmisson)

咳やくしゃみ、会話などで生じた飛沫が水分がなくなり、蒸発して約5μm以下の粒子になり、長時間空気中を漂う。この粒子を飛沫核と呼び、吸い込んで感染を発症する。

精神科施設で発生する要因

  • 窓が15cm程度しか開かない。
  • 見つかりにくい(検査に協力が得られないことが多い)
  • マスクをつけない患者が大半
  • 長期入院患者や高齢者が存在
  • 精神科施設には、陰圧個室がほぼ設置されていない

基本の対策

職員N95マスク着用

患者サージカルマスク着用

陰圧個室がない施設の場合どうするのか?

転院先が見つかるまで、個室対応し患者にサージカルマスクを着用させる。

患者がマスクを着用できないことも想定する

転院先が見つからない、時間・日数がかかることも想定し、感染対策を検討しておく

空気感染する病原微生物

結核菌

水痘ウイルス

麻疹ウイルス

空気予防策

患者配置 陰圧個室
患者搬送 室外は、必要最低限。患者はサージカルマスク
個人防護具 職員は、入室前からN95マスクを着用する
器材の処理 標準予防策の考え方、適切の洗浄・消毒・滅菌を選択
環境整備 高頻度接触面(患者が沢山触れる場所)カーテンなど
なぜ患者にN95マスクを着用しないのか?

・患者は、感染症であり呼吸器症状があることが多い

(N95マスクを着用すると息苦しい)

・患者はN95マスクを適切に着用できない

・簡単に説明するとN95マスクは、空気を吸い込まない(95%)マスク

病原微生物を吐き出す量を低下させるマスクではない!

なぜ?患者にサージカルマスクを着用させるのか

つまり、患者の口や鼻から出る病原微生物を拡散させない為である。

拡散すると病室内に長時間浮遊する。

精神科施設の構造特性が空気感染症に不利である。

不利だから発生時の取り決めや初期対応マニュアルを整備する必要がある。

長期入院患者が多い場合は、マスク着用が困難・手を消毒できない薬剤耐性菌保菌患者の問題を検討しておく。

手が洗えない環境が大半を占める場合Clostoridioides difficile(芽胞を形成する細菌)など、アルコール消毒に抵抗性を示す細菌について、感染が広がりやすく、感染拡大を止めにくい。

患者がマスクを着用できないことも想定し感染対策を検討しておく。

精神科感染対策への第1歩

マスクがはめれない 👉  微生物が排出される(拡散しやすい) 👉 個室対応

異食(消毒剤や液体石鹸を飲んでしまう・手袋を食べる)患者が存在する場合

手が洗えない・消毒できない、手袋の設置ができない・感染性ゴミ箱が置けない

では、諦めるのか・・そうではなく

手が洗える場所がある近い個室をClostoridioides difficile(芽胞を形成する細菌)陽性患者病室とする。

ノロウイルスなど(エンペローブがないウイルスに対応する手指消毒剤を検討する)

空気感染症が発生 👉  陰圧個室がない場合  👉  換気が可能な個室を検討

転院の受け入れ先と連携を事前に保ち、入院期間を最小となる感染対策を準備する。

精神科の感染経路別予防策は難しいケースに遭遇することがある

だけど、諦めるのではなく、どのように工夫し、どこで経路別予防策を行えるか

考えること、訓練することができる。

ABOUT ME
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感染管理認定看護師・特定行為研修終了者 精神科施設で感染対策に従事。 精神科感染対策の難しさに直面、EBM・参考書も少ない中、同じ悩みをもつ人へ情報を提供したい。 感染対策でお困りの際は、ご連絡お願いいたします。 困っているテーマをブログで記事にしていきたいと思います。 X@sprig00761727(アカウント更新しました!)