感染対策

精神科身体合併症 便秘・下痢・感染症 編 

こんな患者さんいませんか?

便秘?下痢?感染症?

  • 向精神薬長期投与で慢性便秘の患者
  • 緩下剤を内服し、通常の排便が下痢状態の患者
  • 抗菌薬治療後に下痢をしている患者
  • 嘔吐する症状が元からある患者(かきこんで食べる患者)
結論
通常の排便回数・性状・バイタイルサインを把握する

・向精神薬の副作用

  向精神薬の抗コリン作用により、副交感神経が抑制され腸ぜん動が抑制され腸の動きが低下する。

患者自身の運動量・活動量が低下するため、腸管運動を阻害し便秘となる。

 

・便秘が続くため、下剤が投与されている

通常の排便が泥状や下痢に近い便である事が多い

・発熱などで抗菌薬治療後下痢をしている

抗菌薬下痢症(腸管内の細菌のバランスが崩れる)

クロストリデウム・ディフィシル下痢症(検査ではCDトキシン迅速検査などで判明)

・細菌やウイルス感染症による下痢

ノロウイルス:潜伏期間48から72時間程度 感染期間 7日程度

発症から2日程度がウイルス量が多い

症状:嘔吐・腹痛(十二指腸付近など)・下痢・発熱がある

病原性大腸菌・サルモネラなどの食中毒など

  • 下痢・便秘を繰り返す患者の場合、感染症を見落としやすい
  • 患者さんは、症状を訴える事が少ない
  • 感染症を発症した場合、共有するスペース(トイレ・給湯茶器・TVのリモコン等)
  • トイレで患者が手を洗えない事が多い(液体石鹸・ペーパタオル設置が困難)
  • 職員も液体石鹸と流水での手洗いが困難
  • クロストリデウム・ディフィシル(芽胞形成細菌) アルコール消毒が効きにくい
  • ノロウイルス アルコール消毒が効きにくい
消化器症状の感染対策

Point

  1.  消化器症状サーべランスを実施し、異常を見つける                   (下痢・嘔吐患者のリストUp)
  2.  受け持ち患者が入れば、通常の便回数・性状を記録に残す
  3.  腹部のフィジカルアセスメント(腹部聴診・触診・打診)
  4.  脱水や電解質異常を理解する(血液検査 Na ・K ・Clの値など)
  5.  腸ぜん動の抑制につながる薬剤について主治医と相談する                 (精神症状も観察)
  6.  アルコール消毒が効かない細菌やウイルスに対する対策を立てる

 

まとめ

下痢・便秘を繰り返す患者については、薬剤の副作用・運動量の低下・感染症・フィジカルアセスメントを行い、患者の臨床推論を行う。

精神科感染対策への第1歩

毎日便秘・下剤・下痢を繰り返す患者やその状態が当たり前となっている場合

医療者としてあなたは、やれる事がある。(考える事ができる)

一緒に考えましょう。

 

ABOUT ME
spring
感染管理認定看護師・特定行為研修終了者 精神科施設で感染対策に従事。 精神科感染対策の難しさに直面、EBM・参考書も少ない中、同じ悩みをもつ人へ情報を提供したい。 感染対策でお困りの際は、ご連絡お願いいたします。 困っているテーマをブログで記事にしていきたいと思います。 X@sprig00761727(アカウント更新しました!)