-
患者から患者への伝播経路が止められない
通常集団での生活から、食堂や浴室にて患者同士が1m以内で食事や会話を行い、マスクを着用できない。また、個室や大部屋に滞在してもらうことが困難である。
施設内を歩き続ける、歌を歌う人もいる。歯磨きの際、必ずうがいを行う人もいる。(エアロゾルが発生しやすい)。歯ブラシやコップの管理が不十分なこともある。
一方で手指消毒剤を設置すると誤って飲んでしまう、手袋やディスポエプロンを食べたり、隠し持つ事もあるため手袋やディスポエプロンなどの個人防護具設置が困難になる事が多い。
つまり、患者がトイレ使用後も、手を洗うこや手の消毒をすることがほぼできていない事が多い。
環境では、閉鎖病棟であれば離院防止から、窓などは15cm程度しか開かないため換気が不十分となる。また複数のドアに鍵がかかるため、鍵やドアノブは常に汚染される。
このことを踏まえると、エアロゾルが発生しやすく、飛沫を防ぐマスクを着用できず、1m以内での距離、ドアノブや鍵、洗面所での環境など空気・飛沫・接触の感染伝播経路が発生しやすい。
-
疑い例発生時点で、職員が濃厚接触者になりやすい
通常、食事介助や口腔ケア、排便排泄後のおむつ交換、陰部洗浄に15分以上時間を要する。
COVID19は、症状発生前からウイルスを排泄するため、患者がマスクをしていない状態で15分以上1m以内で接触することになる。
また、接触してる状況として、食事介助の職員は、N95マスクやフェイスシールドを着用していない事が多い。
患者が食事摂取時誤嚥やむせた場合にエアロゾルを発生している可能性が高い。
精神科医療の現場では、職員が一般的な濃厚接触者となる場面が沢山ある。患者に症状がでた場合は、1・2日前から既にウイルスに暴露されていたケースもあり、職員発生にもつながる。
一方で、濃厚接触した職員を休ませる事が困難な場合(職員数が少ない等)は、職員間での伝播に注意する。
職員も同様、症状が出る1・2日前からウイルスを排泄している。(無症状のことも多い)職員がマスクを外す場所の対策が必要となる。
休憩室で沢山職員が触れる場所(電子レンジボタン・冷蔵庫・コーヒーメーカー・食器乾燥機)の清掃消毒、歯磨き場所の管理、職員トイレ接触部の清掃消毒などは注意が必要である。
次回は、この問題点について工夫できることを考えてみたい。