こんにちは、Springです。
今回は、相談が多い床に直接寝転がる患者さんや
ベッドマットを床にじかにおき、療養される患者さん
の病室の環境整備を考えてみたいと思います。
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結論
- 患者さんが感染症を発症すれば床は感染源となる
- 患者さん・職員が触れるところは汚染する
- 病室環境の素材、微生物を検討し清掃・消毒を同時に行う
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なぜ?精神科病棟の床は汚染しやすいのか
精神状態の悪い患者さんは、床に直接布団やマットを敷き入院療養される事があります。
患者さんの中には、唾液を床に出したり、吐き気や不快感がある場合、口の中で噛み砕いた食事を床に出す方もいます。
一方でCOVID19や薬剤耐性菌などの感染症の発生後、床に直接寝てしまう患者さんは、
感染症を発生した場合どのように掃除や消毒をすれば良いのか悩みます。
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床は汚染源となるのか
一般的なガイドラインでは、床は感染源にならないと記載が多いと思います。
精神科施設では、以下場面で病室の床が汚染します。
- 食べ物・飲み物を床にじか置きする
- スプーンや、はしなどを床におく
- 唾液や口の中の食物を床に吐き出す
- 患者さん排便後手の消毒・手洗いができない
- (水が出ない病室の場合)
- 患者さんの排泄物(便や尿)が付着している
- 自傷行為で血液が床についている
- 患者が床に寝ている
- おむつ交換や陰部洗浄を行う場合
- 床に血液や体液が付着していると
- 職員の膝や白衣は、床に接触してしまう
- 職員の手指は汚染したまま、床・鍵・ドアに触れる
- 手が消毒できない、手が洗えない状況でナースステーションに行く
- 鍵が汚染され、鍵穴も汚染する
- 職員の白衣ポケットも汚染する
鍵穴の清拭・消毒は実施できない
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鍵の清掃や洗浄は可能でも、汚染した鍵穴は消毒できない
病室からナースステーションまでは、複数のドア・ドアノブがあり
開けて閉める行為が1つのドアで、最低でも2回発生してしまう。
鍵穴が汚染した場合、職員個人・共通する鍵は全て汚染してしまう。
COVID19など比較的72時間程度で消滅する微生物であれば良いが
芽胞細菌等長期間環境に存在する微生物は、間接的な感染経路となる。
病棟内での感染症対応病室の、取り決めを行なうことが必要である。
将来的には、スマートキーなどが進化し、医療関連施設でも適応できる製品が
出て来れば感染対策に活用できる。
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シーツなどのリネンも活用できない場合もある
他害・自傷行為や縊首の既往歴があれば、シーツなどのリネンは医療安全上活用しにくい。
ベッドマットなど床と接触している面は、排尿などで汚染しやすい。
防水シーツやディスポーザーブルシーツも活用できない場面も存在する。
靴の履き替えは必要なのか?
・患者病室の汚染状況により異なる
・靴底を清拭しても無菌にはならない
・状況に応じてシューカバーの着用は可能
患者の精神症状・行動を観察し対応を検討する
・唾を床やかべ に吐く、どこに吐くのか
・皮膚を爪で血が出るまでかきむしる(爪の汚染)
・排泄はどのように行なっているか、どこに触れるのか
患者さんの清潔行為が全てできない場合
病室環境は、血液体液で汚染されている事が多い。
患者対応と清掃を、同時に行うことは困難である。
通常の病室清掃を行う場合、どのように清掃すればよいか。
では、患者さんが病室にいない時間帯はいつなのか・・・
入浴時や集団リハビリテーション時清掃・消毒を行う。
消毒薬や洗浄剤が含有された使い捨てクロスで清拭すると短時間で実施できる。
清掃時の注意点
- 感染症が疑われる場合、長袖ガウン、白衣(ズボン)が汚染する場合は、ディスポズボンも検討する。
- ディスポモップや拭き取り用のディスポクロスを活用する。
- 高いところから低いところの順番で清掃を実施する。
- 病室奥から手前に一方向でモップで拭き上げる。
- 消毒薬の噴霧はしない(化学性の肺炎になる)
- 床の消毒を行う場合は、適正濃度で清拭する。
- 患者さんと床の距離がとても近いため、消毒薬による化学性の炎症症状を観察する。
清掃物品のセット化
・ビニール袋
・環境清掃用ディスポクロス
・ディスポモップ
・手袋・ディスポエプロン・サージカルマスク
(必要時ディスポズボン、N95マスク)
・手指消毒剤(ポシェット)
床の素材について
・ソフト床素材
・木材タイル
・畳(最近では、畳に似たふける素材もある)
・通常床素材
素材に応じた消毒剤を選択する
床素材が複雑な形状の場合、消毒が困難な場面が多い。
中・長期的には、清掃・消毒可能なソフト床素材を検討する。
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清掃する職員が感染しない対策はないのか?
COVID19発生病棟などで清掃する場合、職員が感染することがある。
時間・労力のコストを検討すると清掃ロボットも検討する。
ナースステーションなど患者が侵入する事がない場所であれば、
ルンバなどの清掃ロボット活用も検討できる。
高額ではあるが、感染症対応の紫外線清掃ロボットもある。
自力で移動できない患者のみの集団エリアであれば、清掃ロボットも今後検討の余地がある。
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まとめ
- 精神科では床が高頻度接触面になる
- 床や低床マットレスの場合、床に職員が接触する機会が増加する
- 医療安全に注意し、清掃ロボットの活用を検討する
精神科感染対策への第1歩
清掃業者職員がCOVID19に感染してしまう。
職員を安全に病室清掃できないか・・・
世の中はDXと進化しているが、精神科医療施設は
いまだに布製モップを使用している施設が多い。
新しい取り組みや発想、検討が必要である。
清掃・消毒ができる安全にできる清掃ロボット
が作れないものか。