感染対策

精神科施設で使用する特殊物品 鍵・拘束帯の洗浄・消毒・保管

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鍵・拘束帯で使用する物品

精神科では特殊な物品を扱う

鍵はどのタイミングで、何回洗えば良いのですか?

と聞かれても・・困る。

洗浄・消毒・滅菌のガイドラインや参考書には、鍵や拘束帯のこと記載がない。

どうすれば良いのだろうと悩んでいる 貴方

この記事を読めば感染対策のヒントになる。

この記事を読めば感染対策のヒントになる

スポルディングの分類・細菌・ウイルス発生・物品の素材の観点から考える

スポルディングの分類とは・・

精神科で使用する物品を例にして

リスク分類 対象 処理方法
クリティカル 清潔組織に活用する器具 縫合セット 腰椎穿刺セット 滅菌
セミクリティカル 粘膜に触れる器具 ネブライザー物品

粘膜に触れる口腔ケア物品

高水準消毒
ノンクリティカル 医療機器・物品 PC ・鍵・拘束帯取り外し器具 中または低水準消毒
ノンクリティカル 環境 ドアノブ、ドア、リネン、椅子、格子 定期清掃

消毒薬の分類

消毒分類 細菌・ウイルスの効果範囲
高水準消毒 多数の細菌芽胞を除く、全ての微生物を殺滅する
中水準消毒 芽胞以外の結核菌、多くの細菌・ウイルス・真菌を殺滅する
低水準消毒 ほとんどの細菌、数種のウイルス、真菌を殺滅するが、結核菌や細菌芽胞などは、殺滅しない。

消毒薬がどの範囲まで細菌・ウイルスに効果があるのか

高水準消毒の対象:器具・器材のみに使用、環境整備や生体には使用しない

精神科施設で使用する頻度の多い消毒剤

中水準消毒

塩素系

次亜塩素酸

ハイターなど

次亜塩素酸ナトリウム 芽胞形成菌・ウイルスにも効果あり 中水準消毒
ペルキソー硫酸水素カリウム

ルビスタなど

医薬品外 芽胞形成菌・ウイルスにも効果あり  

アルコール系

エタノール 消毒用エタノール 芽胞細菌・エンペローブなしウイルスに効果が低い 中水準消毒
イソプロパノール イソプロバノール 芽胞細菌・エンペローブなしウイルスに効果が低い 中水準消毒

0.1%次亜塩素酸溶液を現場で作成するには

現役濃度 希釈倍数 現役
1%濃度

ミルトン

10倍 33ml 1l
6%濃度

ピューラックス

60倍 16.6ml 1l

低水準消毒薬

第4級アンモニウム塩(オスバン・ハイアミン等)

0.05%から0.2%濃度で使用される。

芽胞細菌・ウイルスに対して無効

一般細菌には効果あり

両界面活性剤 0.2%濃度で使用される

脱脂作用が強いため、手指の消毒には使用しない

芽胞細菌・ウイルスに対して無効

一般細菌には効果あり

B型肝炎ウイルスやHIVウイルスにも無効

まずは、鍵の問題から考えていきたい・・

鍵は、清潔部位、粘膜に直接触れることはないため、低水準消毒で可能

一方で、細菌やウイルスを間接的に接触媒介する物品でもある。

消毒剤によっては、素材金属が錆びたり、劣化する。

そもそも鍵は、清潔になるのだろうか?

どのような汚染場面が考えられるか

  1. 病棟内患者病室・共有トイレには、流水と液体石鹸・ペーパータオルが設置が困難
  2. 職員は、移動の度にドアや環境に触れてしまう。
  3. 鍵をポケットに入れてしまう(ズボンであれば太ももに接触する)
  4. 鍵の付属品(落ちないようなストラップ)も汚染されている。(形状がコイル状で拭きにくい)
  5. 鍵を洗浄し、環境クロスで丁寧に拭きあげても、汚染した鍵が鍵穴に挿入されれば鍵はすぐ汚染する
  6. ドアノブの鍵穴が清潔になることはない

できる対策

短期・中期・長期で対策を検討する

鍵接触前後で手指消毒を実施する

目に見えて鍵に汚染(尿、唾液、痰、血液、その他食事の食べ残し付着)があれば流水と液体石鹸で鍵を洗浄する。

汚染ポケット、清潔ポケットの取り決め

鍵紛失防止のためのストラップを清拭しやすい形状のものにする

中期的な考えで、通常の鍵からカードキーへ変更していく(清拭できるもの)

長期的な考えで、顔認証キー(指紋)

沢山の職種が触れる共有する鍵がある

保管前後に低水準消毒保有の環境クロスで清拭し保管する

鍵は、ステンレス素材であれば錆びにくい中水準消毒がある。

プラスチックは、劣化していく。

精神科で遭遇しやすい細菌・ウイルスと消毒薬

抵抗性が強い順に記載します。

抗菌薬投与後に下痢をして、検査してみると・・

クロストリディウム・リディオイディス(昔は、ディフィシルと呼ばれていた)検出

よく検査室から・・〇〇さんCD陽性です。と報告がくるやつです。

芽胞を形成するため、アルコール消毒剤に抵抗性を示します。

手指消毒をしても、鍵には上記細菌は付着してしまう。

個人的には、精神科で最も感染対策が困難な病原微生物だなあと

次にエンペローブを持たないウイルス

ノロウイルスなど

これまた、アルコール消毒に抵抗性を示す。

下痢をしている患者のケアをする際、検査結果が出るまで感染症のリスクがあります。

鍵が複数あれば、感染症・または疑い患者の鍵を作成することも対策となる。

つまり、個人防護具を着用し汚染用の鍵を準備する事

拘束帯の管理

洗浄・消毒・管理

拘束帯は、どのような場面で汚染するか

自傷・他害がある場合、身体拘束を行うがその際使用する。

どこが一番汚染するのか

胴拘束帯背部下部:便汚染していることが多い(便・尿や仙骨部褥瘡滲出液による汚染)

上肢・下肢拘束帯内側:皮膚が擦れ皮膚損傷していることが多い(血液による汚染)

下痢や出血をしている場合

芽胞細菌やエンプローブを持たないウイルス(B型肝炎ウイルス・ノロウイルス)を念頭におく。

厚生労働省推奨

拘束帯などのリネン類は、80度10分間の熱水消毒が望ましい。

便や血液体液が付着したまま消毒は行わない。

消毒薬は、タンパク質を固めてしまうため、その部位の消毒ができない。

まずは、洗浄して消毒剤か熱水での消毒を実施する。

耐熱性ある拘束帯をおすすめする。

拘束帯のピン・ボタンも同様、製造元に確認後清拭・消毒を行う。

精神科でも水溶性ランドリーバッグの活用が標準化してくれば、血液体液リネン汚染の環境が多少改善すると思う。

廊下や病室の隅で排尿する患者もいるため、拭き取る大きな雑巾なども活用している施設もある。

吸収性があり、拭き取る際に洗浄効果、消毒効果のあるディスポ製品があればとても便利。

しかし、まだこのような製品はない。

このような製品開発のアイデアを持ち寄り便利な製品を将来的に作成したい。

  • 鍵を洗浄・消毒しても鍵穴で汚染する
  • 共有する鍵は、保管時清拭する
  • 拘束帯は、耐熱性・消毒できる物品を検討する
  •  

精神科感染対策への第1歩

精神科の現場で困っていることが、なかなか表面に問題として出てこない。

困っていることを改善したい。

精神科で活用できる感染対策便利製品を作成するぞ! オー

ABOUT ME
spring
感染管理認定看護師・特定行為研修終了者 精神科施設で感染対策に従事。 精神科感染対策の難しさに直面、EBM・参考書も少ない中、同じ悩みをもつ人へ情報を提供したい。 感染対策でお困りの際は、ご連絡お願いいたします。 困っているテーマをブログで記事にしていきたいと思います。 X@sprig00761727(アカウント更新しました!)