そんな時、精神科施設で感染対策をどのように学べばいいのかわからないな。
一般病院の感染対策参考書は沢山あるけど精神科施設での感染対策教育がわからない
ネットで検索しても新型コロナの対策記事は、あるけどその他があまりなし・・
そんな悩みを持つあなたに、おすすめです。
この記事を読むことで、どうなるか・・
結論:精神科に特化した現場で活かせる感染対策を学ぶことごができる
私は、感染管理認定看護師です。一般病院に6年、精神科施設に9年感染管理を実践してきました。複数回の集団感染の経験や精神科施設の感染対策の難しさを理解した上で、現場で教育できる内容を提供していきます。
今から5回シリーズで紹介していきます。
・精神科施設における特殊性(患者要因)
1感染症の発見がとにかく見つかりにくい
精神症状により、症状を訴えることができない。
熱や脈・血圧を測らせてくれない患者も存在する
診察やコロナウイルスなど検査への協力がえられない。
検査に職員が3人から4人必要な場合もある(正確な検体が取れないケースもある)
行動制限に協力が得られない
長期に入院している患者の割合が高い、ベッド周囲に物品が多い(環境が掃除しにくい)
トイレ後の手洗いや爪が伸びている、歯磨きをしない患者も多い
2 実は感染症を発症しやすい患者が多い
・入院患者の高齢化
増加する高齢者、入院患者の約半数は65歳以上の高齢者
筋力や臓器の機能低下(フレイル)
・身体合併症の増加
向精神薬の副作用、精神症状による合併症の増加
糖尿病や心臓、肝臓、腎臓、誤嚥性肺炎の増加
細菌性の肺炎や尿路感染・血流感染が増加すると抗菌薬が投与される
耐性菌が発生しやすい。
耐性菌保菌患者の感染対策が最も難しい。
・施設構造
閉鎖病棟と開放病棟がある
市中感染症の侵入を考えると
閉鎖病棟
・患者は自由に病棟への出入りができないため、職員が病原体を持ち込むことが多い
・閉鎖空間のためドア・鍵が必要となる(鍵・ドアが感染経路になる)
・窓が15cm程度しか開かない(換気ができない・換気に時間がかかる)
開放病棟
・患者は、自由に病棟への出入りが可能なため、患者が病原体を持ち込むことがある。
外出・外泊が多い
*施設全体で考えた場合
どこから、患者持込の市中の感染症は入りやすいのか
1位 外来・デイケア
2位 開放病棟
3位 閉鎖病棟
・入院が多く入院期間が短い病棟(スーパー救急病棟)
・外出・外泊が多い病棟(年末年始・大型連休)
3 職員の特徴(施設にて異なるが)
例
医師:精神科医師が多く、その他内科などの医師が少ない。
インフェクションコントロールドクターがいない施設が多い
看護師:感染管理認定看護師近年は、精神科施設でも増加傾向
検査技師:検査については外部委託のことが多い
感染症担当の検査技師が不在
薬剤師:ベッド数に対して薬剤師の人数は少ない
感染症担当薬剤師の確保が困難な場合がある
リハビリ担当(理学療法士 作業療法士)
精神領域:作業療法
・集団プログラム(カラオケなど飛沫飛散するプログラムもあり)
・紙細工など消毒できない素材もある
・ゲームやスポーツなど手指消毒が困難な場面もある(密になることが多い)
身体障害領域:理学療法、作業療法、言語療法
・身体接触があり飛沫・エアロゾル感染のリスクは高い
・病棟間の患者交差があり、1ヶ所で集まり拡散するリスクがある
・言語訓練では、双方にマスクを外すことがある
精神保健福祉士・臨床心理士
・相談業務時に近い距離で対応
・カウンセリング時に対面となることが多い
・マスクによる非言語的な情報・表情が見えなくなる弊害がある
カンファレンスの多さ
・患者と近距離で接触する職員が多い
・近距離で接触した職員が他職種でカンファレンスを行うことが多い(退院支援など)
・他職種職員と患者・家族が同時に面会を行うことがある。
まとめ
精神科の患者は、高齢化とともに身体合併症が増加している。身体と精神の病気を同時に観察し対応する力が求めらている。
市中感染・院内感染の侵入・発生の特徴を理解し戦略を立てる。
メディカルスタッフの感染リスクを把握し、他職種が集団となるリスク・横断的に移動する職員への感染対策が必要である。
精神科感染対策への第1歩
患者の母集団は、今後高齢化していく、その中で感染症を見つけること、気づくことが難しくなる。
患者・施設構造・職員の特徴を理解し、3つの要因が複数絡む感染対策に視点を置き対策を工夫する。
失敗しても、次成功するよう学んでいく。
私も感染対策で呪文のように唱えています。
失敗は、成功への近道だと