目次
- 困った場面
- そもそもサーベイランスとは何か?
- 1症候群サーベイランス
- 2 J-SIPHE
- 3 JANISサーベイランス
困った場面
- 困った場面
- そもそもサーベイランスとは何か?
- 1症候群サーベイランス
- 2 J-SIPHE
- 3 JANISサーベイランス
困った場面
感染症を早期に見つけることができず、気がつけば集団発生している。
患者さんは、マスク着用できないし、手も消毒しない。
症状は、はっきり言わないし。
動き回るし、他の患者さんと密になってるし・・
どうすれば感染症を見つけることができるのか困っている 貴方へ
この記事を読むことで
結論:精神科でも活用できる、感染症を早期に発見できる手法を理解できる。
そもそもサーベイランスとは何か?
サーベイランスを簡単に説明すると
感染の数を数えていつもより発生が多いのか、少ないのか判断するものさしのイメージです
1症候群サーベイランス
1症候群サーベイランス
発熱や下痢の患者・職員発生状況の把握
特徴
- 症状の情報を集めることができる
- 感染症の早期発見・早期探知ができる
- 長所として、診断より早く見つけることができる
- 短所として、より多くの疑い陽性を計測することがある
例
A病棟 | 6/1 | 6/2 | 6/3 | 6/4 | 6/5 | 6/6 | 6/7 | 合計 | 平均 |
発熱 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 4 | 0.57 |
咳嗽 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | 6 | 0.85 |
下痢 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 1.14 |
嘔吐 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.28 |
A病棟では、発熱は1日平均0.57人 6/7はいつもより発生が多い
通常の発生人数を把握し、いつもより多い発生数の場合発見しやすい。
*COVID19対策としても、通常を把握していれば異常に気づくことができる。
もしくは、発熱時COVID19を検査し、除外できれば他の熱源を検査することもできる。
電子カルテがない施設でもMicrosoft Excelで簡単に作成ができます。
数字を入力するとグラフ化できるよう設定しておくと便利です。
精神科の場合、検体検査を外部委託していることが多いため、疑い患者を早期発見し対策を行う。
まずは、疑い患者を見つけることのできる症候群サーベイランスから始めてはいかがでしょう。
2 J-SIPHE
2 J-SIPHE
感染対策連携共通プラットフォーム
J-SIPHEとは
Japan Surveillance for Infection Prevention and Healthcare Epidemiology
厚生労働省の委託事業AMR臨床リファレンスセンターが主体となり、AMR対策に活用できるシステム
AMR対策とは薬剤耐性対策アクションプラン
- 感染対策指標(手指衛生遵守率)
- 抗菌薬使用状況
- 微生物検出状況
- 医療関連感染(血流感染・尿路感染等)
- 感染症診療
参加データを登録すると、図表として閲覧することができます
上記から申請手続きができます。
参加条件
感染対策向上加算1施設:HPより申請
感染対策向上加算2、3または届出がない施設:連携している加算1施設から招待を受ける。招待コードを用いて参加申請フォームより参加申請を行う。
参加申請について(申請時に準備しておくと良い項目)
- 医療機関情報(処方箋発行医療機関コード、任意PW、医療機関名、医療機関住所、病床数
- 実務担当者情報(担当者の氏名、所属、職種、連絡先)
- 提出データ項目情報
- 病棟情報(病棟名、病棟コード)
- 診療科情報(診療科名、診療科コード)
- 参加申請書記載事項
加算要件を満たす施設であればぜひ活用すると便利です。
メリット
- 手指衛生のデータ管理が病棟別や年次・月別の推移が自動でグラフ化されている
- 連携施設や精神科施設とグループ化すると、精神科施設同士の比較が可能
- 全国のベンチマークと比較が可能(耐性菌・抗菌薬使用・手指衛生等)
デメリット
- データを月々入力する必要がある
- データを入力する人材が必要
- JANIS検査部門に登録していれば自動集計、なければ手入力
3 JANISサーベイランス
3 JANISサーベイランス
院内感染対策サーベイランス
目的:感染症の発生状況の報告・院内感染対策の推進
どんなデータが得られるか分かりやすく要点をまとめた。
1 検査部門
細菌検査により検出される細菌の分離頻度(どの程度検出しているか)
抗菌薬がその細菌にどの程度効果があるか収集・解析
2 全入院患者部門
全入院患者を対象
薬剤耐性菌による感染症患者の発生率を収集・解析
薬剤耐性菌のによる発生状況を明らかにする
3 手術部位感染部門
手術後に発生する手術部位感染のリスク因子の発生率や原因菌に関するデータを継続的に収集・解析
手術部位感染の発生状況を明らかにする
4 集中治療室部門
集中治療室で発生する院内感染症の発生率を明らかにする
- 人工呼吸器関連肺炎
- カテーテル関連血流感染
- カテーテル関連尿路感染
5 新生児集中治療室部門
新生児集中治療部門で発生する院内感染発生率と原因菌を明らかにする
精神科の患者が上記部門でも入院する場合もある
- 責任者
- 実務担当者
- 医療機関コード及びパスワード
- 参加医療機関の公表
メリット
- J-SIPHEと連携すれば自動でデータが移行できる
- 自施設の状況が把握できる
- 全国レベルでの発生状況や実施設の感染発生が多い方、少ない方か判断材料となる
デメリット
- 検査室がなければ困難(委託先と連携する)
- 入力する人材が必要
- データの解釈(図の見方)がわからないと判断しにくい
まとめ
3つのうち、精神科施設で使用しやすいものからチャレンジしてみる
感染対策向上加算が取得できれば、施設にも貢献できる
便利なものは、活用する
精神科感染対策への第1歩
精神科施設感染対策教育の進め方 5回シリーズが終了しました。
みなさんが知りたい・困っている内容があればぜひ一緒に考えて行きたいと思います。
困っている感染対策があればコメントお願いいたします。
例:長期入院患者で耐性菌保菌しているマスクが着用できない患者の感染対策など