こんな場面で困っていませんか?
今日は、準夜勤。
60歳 統合失調症で入院の男性患者を訪室すると。
ムカムカする
と言われる。
話しかけるといつもと反応が違うな・・・・・・
精神科患者さんの意識レベルは、わかりにくい (汗)
精神症状か身体症状なのか、どっちなんだ。
どのように患者さんの状態を観察していけばいいんだろうか?
と悩んでいる貴方。
結論
身体の情報を診る 👉 症状(病態)を分析する 👉 身体・精神状態を統合 👉 病態を判断する。
まずは、意識障害をアイウエオチップスで考えてみる。
Alcohol | アルコール |
---|---|
Insulin | 低血糖・高血糖 |
Uremia | 尿毒症 |
Encephalopathy
Electrolytes |
髄膜炎、脳炎、肝性脳症
電解質異常 |
Oxygen
Overdose |
低酸素血症、高二酸化炭素血症
薬物中毒 |
Trauma
Temperature |
外傷
体温異常(熱中症、低体温症) |
---|---|
Infection | 感染症 |
Paychiatric | 精神疾患 |
Shock | ショック |
Seizure
Stroke |
てんかん
くも膜下血腫、脳梗塞 |
精神科では、精神疾患と既往歴・身体合併症を理解しておく事
精神科で遭遇する意識障害 悪性症候群
悪性症候群とは
- 抗精神病薬使用下で強い筋強剛を主とした錐体外路症状が生じる
- 高熱・血液検査でCK高値・意識障害・発汗・頻脈・動機
- 以下診断基準
Levenson 診断基準
大症状が3つまたは、大症状が2つ、小症状が4つ
大症状
□ 発熱(高熱)
□ 筋剛強
□ 血液検査CK高値
小症状
□ 頻脈
□ 血圧異常
□ 頻呼吸
□ 意識変容
□ 発汗多量
□ 白血球増加
意識障害の患者を発見したら 👉 応援を呼ぼう。
- 命の危機を察知する。:熱・脈・血圧・呼吸数・酸素飽和度を測定する
- 脳の損傷を考える:脳梗塞・脳出血 運動麻痺・言語障害・瞳孔
- せん妄:ベッドからの転落、カテーテル類の抜去
意識障害患者への対応
- 呼吸の観察:口の中の観察:異物がないか、吐物がないか
- 呼吸の評価:呼吸しているか、止まっていれば心肺蘇生
- 循環の評価:ショックの兆候
- 神経症状:瞳孔の状態、麻痺、意識レベル
精神科での頭痛をアセスメント時の注意点
精神科疾患患者は、自覚症状に乏しい
- 向精神病薬の副作用により、痛みの閾値が高くなっている(痛みを感じにくい)
- 精神機能状態から、症状を表現できないことが多い
- 検査データと症状にギャップがある(症状が出た時は、重症の場合もある)
意識レベルの診察
1 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)
0:意識鮮明 |
Ⅰ刺激しないでも覚醒している |
1 大体意識鮮明だが、今一つはっきりしない |
2 見当識障害がある |
3 自分の名前・生年月日が言えない |
Ⅱ 刺激すると覚醒する状態 |
10 普通の呼びかけで容易に開眼する |
20 大きな声または、体をゆさぶると開眼する |
30 痛み刺激を加えつつ、呼びかけ続けるとかろうじて開眼する |
Ⅲ 刺激をしても覚醒しない状態 |
100 痛み刺激に対し、払い除けるような動作をする |
200 痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめたりする |
300 痛み刺激に反応しない |
GCS:グラスゴー・コーマ・スケール
開眼機能、言語機能、最良運動機能の3要素から得た合計点数
意識清明:15点
軽症:13から15点
中等症:9から12点
重症:8点以下
開眼機能(E)
eye opening :点数 |
言語機能(V)
best verbbal response: 点数 |
最良運動機能(M)
best motor response: 点数 |
自発的に目を開ける:4 | 正確な応答:5 | 命令に従う:6 |
呼びかけて目を開ける:3 | 混乱した会話:4 | 痛み刺激を払い除ける:5 |
痛み刺激により目を開ける:2 | 不適当な言語:3 | 痛み刺激に対する四肢屈曲、逃避反応:4 |
開眼しない:1 | 理解不明の声:2 | 痛み刺激に対する四肢屈曲、異常反応:3 |
発語しない:1 | 痛み刺激に対する四肢伸展運動:2 | |
全く動かない:1 |
薬剤による瞳孔異常
コリン作用 | 縮瞳、徐脈、多汗 |
抗コリン作用(副交感神経遮断) | 散瞳・皮膚乾燥・紅潮 |
動眼神経内の副交感神経を通じて瞳孔収縮を引き起こす。
まとめ
- 精神科の患者さん(入院時、通常時)の意識レベル評価
- 意識レベル評価スケール活用
- アイウエオチップスをもとに精神・身体をアセスメントする
精神科感染対策への第1歩
精神科では、感染症の意識障害も発生する。
敗血症ショックや髄膜炎、その他ウイルスや細菌による意識障害のアセスメント
高齢化する患者さん達へ、複数の意識障害を判断していく必要がある。