こんな場面ありませんか?
いつもおとなしい患者さん・・
今日は、表情が険しいし、大声やドア叩きが激しいな・・
症状を聞いてみると腹がむずむずする・・ブツブツ・・
顔色は悪く、精神症状は悪い。
この患者さんは、精神症状が悪化しているのか?
身体症状があって、精神症状が悪化しているのか・・どうなんだ。原因は、身体なのか精神なのか?
どうやって、判断すればいいんだよう〜
と悩んでいる 貴方
この記事を読めば問題解決のヒントになる!
フィジカルアセスメントを行うことで精神科特有の症状と身体症状との鑑別が理解できる。
そもそもフィジカルアセスメントとは何か?
- 身体所見情報に特化した情報
- 所見情報から分析し、身体・精神症状を組み合わせ、判断までの過程
- フィジカルイグザミネーションにより情報を収集する
フィジカルイグザミネーションとは何ですか?
簡単に言えば視診、聴診、触診・打診・バイタルサイン測定などの値などの情報を得る技法です。
精神科で患者さんの身体症状が見つかりにくい場面
- 患者自身が症状を適切に伝えることが難しい
- 体温・脈拍・血圧・呼吸数測定を拒否される事がある
- 元気な時の意識レベルを測定していない(異常時の物差しがない)
- 患者さんへの身体診察教育が不足している(精神症状の観察は長けている)
- 患者の体に視診、聴診、触診を行うことが少ない
問診ができる患者さんであれば
- どのように症状が出ているか(いつから 何分、何日前、何週間前、何ヶ月前)
- 症状がひどくなったり、改善したりするのか?
- 症状は、急にひどくなったか、じわじわひどくなっているか
- 症状がある場所は、決まった場所なのか、痛みなど場所が変わるのか
- 時間経過は、1日で変化があるの?
精神科患者に多い身体合併症
- 肺炎(嚥下障害)
- 胆嚢炎
- 肺塞栓症(拘束帯など)
- 消化管穿孔
- イレウス
- 低ナトリウム血症
- 骨折(外傷・転倒)
- 身体衰弱
以下の本は、とても参考になりました。
病態から合併症まであるので、看護計画にも活用できますよ。
例:精神科で発生する誤嚥性肺炎を考えると
どんな特徴があるか?
- 精神科疾患患者が高齢化している
- 歯がない患者(欠損・虫歯・歯周病の治療が疎か)
- 運動能力が低下(加齢・噛む力・飲み込む力・舌の運動能力が低下)
- 感覚の低下(神経活動が低下、食べ物の温度・味、嚥下のタイミングがわからない)
- 食事行動(一気に食べる、丸呑み、噛まない、手で食べるこだわり、認知機能低下)
- 向精神病薬の影響(副作用)過鎮静・
- 抗コリン作用 (口の中の乾燥、認知障害、排尿障害、便秘)
- 錐体外路症状(筋硬直、動作緩慢、咀嚼困難、嚥下困難、咳嗽反射の低下)
このような事例では・・
65歳女性 統合失調症で3点拘束中、食事介助をおこなっている。就寝前の内服投与時にむせ込み翌日から発熱、酸素飽和度が低下している。
どのようなフィジカルアセスメントが必要か
情報を取る
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病態を分析する
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患者さんの情報と病態を合わせる(統合)
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病態を判断する(どのようなことが臓器で発生しているのか)
気道・呼吸:呼吸回数・様式(どのような呼吸パターンか)
循環:脈拍触知、ショックの5Pを見る
意識レベル:GCS JCS
呼吸をフィジカルアセスメント
- 安静時呼吸数は、16から20回/1分間
- 呼吸は深い、浅いか、同じリズムか
- 左右の呼吸に違いはないか
- 痰の性状、痛みはないか(触れて)皮下気腫はないか
- 肺の副雑音は聞こえるか
肺副雑音について
ラ音 | 名称 | どんな音 | 発生源 | 代表的な病気 |
細かい断続性のラ音 | 捻発音
fine crackles |
チリチリ
パリパリ |
呼気時に閉塞した抹消気道が吸気時に開放する際の音 | 間質性肺炎
肺水腫 |
粗い断続性のラ音 | 水泡音
coarse crackles |
ゴロゴロ
ブツブツ |
太い気管支内で分泌物(痰など)が吸気・呼気時に破裂する音 | 慢性気管支炎
細菌性肺炎 COPD |
高温性連続性ラ音 | 笛声音
wheezes |
ヒューヒュー
ピーピー |
狭窄した気道壁の振動音 | 気管支喘息
COPD 気管支狭窄 |
低音性連続音ラ音 | いびき音
rhonchi |
グーグー | 気道の壁に張り付いた痰などの振動 | 肺炎
心不全 気管支拡張症 COPD |
合わせて行いたい聴診
患者は、3点拘束で仰臥位が多い場合は・・
前面からのみの聴診ではなく、ぜひ背部の聴診を行う
もっと詳しく知りたい方は、以下の書籍がおすすめです。
私もほぼ毎日この本を見て、具体的な身体診察に活用しています。
まとめ
- まずはバイタルサイン・意識レベル確認(正常値を知ること)
- 聴診・視診・触診・打診をおこなってみる
- 忙しくても異常がある場合は身体診察(フィジカルアセスメント)
精神科感染対策への第1歩
精神症状が悪化した場合、身体症状の異常にも目を向ける。
患者さんの表現として、私たちが考えてるサインと違うかもしれない。
精神症状の悪化も身体所見のサインかもしれない。
フィジカルアセスメントを行い、身体所見の異常を鑑別し除外して精神症状を同時にアセスメントする。
精神症状と身体症状どちらも診れるようにアセスメントする。