はじめに
精神科訪問看護は、患者様の快適な自宅でのケアを可能にしますが、感染対策は大きな課題です。
特に精神科領域では、患者様の特性を理解し、安全を確保しながら信頼関係を築く必要があります。
この記事では、精神科訪問看護における感染予防の重要性と、効果的な対策を専門家の知見を基に探ります。
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結論
- 訪問前に地域の感染流況状況を把握する。
- 保訪問中に、病原体を持ち込まない、感染症に罹患しない。
- 病原体を運ばない、持ち帰りしない。
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精神科訪問看護前に、地域の感染状況を把握する
以下は日本の47都道府県ごとの感染症情報を提供する公式サイトの一覧です。
都道府県 | 感染症情報サイト |
---|---|
全国 | 感染症ラボ |
全国 | NHK特設サイト |
全国 | 厚生労働省 |
感染症ラボなどのサイトでは、流行している感染症のトップ3やそれ以下の順位、患者報告数などを都道府県別で確認できます。
NHKの特設サイトでは、新型コロナウイルスに関する最新情報が提供されています。
また、厚生労働省のサイトでは、新型コロナウイルスを含む様々な感染症に関する情報がまとめられています。
これらのリンクから直接各サイトを訪れて最新の情報をご確認ください。
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訪問先の患者さんはどのような感染症になりやすいのか
- 市中で流行している感染症 → 家庭内感染 → 就労施設や短期入所施設での感染
- 既往歴・年齢・性別・抗精神薬の副作用による臓器機機能の低下(誤嚥性肺炎等)
- 高血圧や糖尿病などの合併症による皮膚損傷や褥瘡の感染
- 口腔内の汚染や手指・爪の汚染
- 抗精神薬と緩下剤服用の場合(便秘と下痢を繰り返すため、症状の発見が遅れる)
精神科患者さんに多い身体合併症
•肺炎
•胆嚢炎、消化管穿孔・イレウス
•肺塞栓症
•外傷・骨折
•嚥下障害・感染症
抗精神薬の副作用
•中脳辺緑系ドーパミン受容体D2受容体阻害
•パーキンソン症候群(振戦・筋強剛)
•抗コリン作用 (口渇・便秘)
•抗ヒスタミン作用 (眠気・活動低下)
•認知機能低下
病原体を持ち込まない対策:訪問前の職員の健康・物品管理
訪問前には、市中感染症の発生状況を確認し、自己の健康状態をチェックすることが不可欠です。適切な個人防護具を準備し、手指衛生を徹底することで、患者様と自身の安全を守ります。
訪問するスタッフ
・発熱・呼吸器症状・消化器症状はないか
・汚染した物品を持参していないか
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・訪問する訪問車の汚染はないか
訪問先での問題点
- 訪問先で手を洗えない可能性が高い(流水と液体石鹸の手洗いができない)
- 訪問先の患者さん、同居家族の健康状態を事前に知ることが困難
- 個人防護具、フェイスシールドなどを気にされる患者さんも存在する。
- バイタルサイン測定器具を清掃、消毒できる物品が必要
- 清潔物品と不潔物品を同時に持ち運ぶことがある。
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訪問先の環境の確認
・衣類やゴミが散乱している
・食器や食物が置いたまま、冷蔵庫に保管できていない
・トイレの清掃状況
精神科訪問看護中の感染対策
- 個別の対策と家族の協力: 訪問看護では、家庭ごとの感染対策のレベルが異なるため、看護師は個々の状況に合わせた対策を取る必要があります。感染予防の重要性について家族に理解と協力を求めることも大切です。感染兆候がなくても、流行期には特に注意が必要です。
- 感染経路の遮断: 感染対策の基本は、感染経路の遮断です。訪問看護師は、利用者やその家族からの感染、廃棄物による感染、針刺し事故などによる感染リスクを常に意識し、適切に対応するガイドラインに従って行動します。
- ステーション内での消毒: 訪問看護師は、利用者宅訪問後にステーションに戻る際、共用の物品や設備を適切に消毒することが必要です。病原体をステーション内に持ち込まないよう、特に気をつけなければなりません。
- 感染防護具の着用: 手洗い、手指消毒の徹底のほか、マスクや手袋、ガウンなどの個人防護具の使用が有効です。これらは、感染症の予防だけでなく、看護師自身の安全を確保するためにも重要な手段です。
- 利用者の状態の観察: 精神科訪問看護師は、訪問時に利用者のバイタルサインをチェックし、問診や触診を通じて健康状態を観察します。感染の兆候があれば、速やかに感染対策を強化し、必要に応じて事業所への連絡や医療機関への受診調整を行います。
訪問中は、患者さんと接触に際して、常に感染予防措置を心がけます。
バイタルサイン測定器具は使用後すぐに消毒し、患者様の自宅での安全を確保するために、清潔な作業環境を維持します。
訪問時の感染対策
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- •患者さんの住まいの環境汚染状況
- •患者さんの感染状況確認(バイタルサイン)
- •患者さんが提供する(飲み物、食物、食器の汚染)
環境が汚染している場合は、衣類も汚染する可能性が高い
精神科訪問看護時、職員は私服で訪れることが多い。
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医療者の衣類が汚染された場合、直ちに交換し、汚染された衣類は専用の袋に密封して持ち帰ります。家庭での洗濯は避け、医療機関のガイドラインに従った洗濯と消毒を行います。
患者さんの感染状況の確認
•患者さんは、症状を表出できるのか?
•できない場合、まずバイタルサイン測定・意識レベルの観察
•Q SOFAの測定(簡易的敗血症測定に活用)
🔲収縮期血圧100mmhg以下🔲呼吸数22回以上🔲意識レベル低下
•2つ以上で感染症を疑ってください。
バイタルサイン・意識レベルを観察しましょう。
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このような患者さんがいたら、腹部を聴診しましょう。
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腹部の触診(患者さんの訴えがはっきりしない)
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![](https://seisin-kansentaisaku.com/wp-content/uploads/2023/11/image-5-1024x538.png)
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訪問後の感染対策と報告
訪問後は、使用した個人防護具を適切に処理し、手指衛生を実施します。感染の疑いがある場合には、速やかに報告し、必要な対策を講じます。
訪問看護スタッフの車両の清掃と消毒
訪問に使用する車両は、定期的に清掃と消毒を行い、感染リスクを最小限に抑えます。特にドアハンドルやステアリングなど、頻繁に触れる部分に注意を払います。
自宅環境の汚染リスク評価と対策
患者様の自宅を訪問する際は、事前に汚染リスクを評価します。リスクが高い場合は、追加の感染予防措置を講じ、患者様とその家族にも協力を求めます。
感染経路を遮断するための実践的アプローチ
感染経路を遮断するためには、患者様の環境と接触する物品の管理が重要です。訪問看護スタッフは、感染予防のための教育を受け、健康管理にも留意します。
訪問看護後の持参する物品に汚染がないか気をつけましょう。
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訪問車の汚染しやすい場所
・訪問先に手が汚染した場合
車の鍵やドアのとってが汚染しやすい。
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手の消毒が未実施の場合、シートベルトやハンドルも汚染しやすい。
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持参する物品について
将来的には、清拭しやすいバッグに変更する。
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まとめ
![](https://seisin-kansentaisaku.com/wp-content/uploads/2023/11/image-12-1024x394.png)