こんな場面ありませんか
こんな場面ありませんか
患者さんが発熱したぞ! 検査すると
COVID19 PCR検査陰性です・・検査室から連絡があった。
さて、この患者さん
発熱は・・なんの熱だ?
感染性の発熱? 感染症以外の発熱?
抗精神病薬飲んでるし、悪性症候群かもしれない
でもどうやって、判断すればいいのだろう・・精神科施設には病床数多いけど感染症医師ほぼいないな、内科の先生も1人だけ・・
患者さんの精神状態は良く観察できるけど
患者さんの身体やフィジカルアセスメントをどのように診ていけばいいのだろう?
と悩んでいるあなた
この記事を読むと
結論:特定行為研修を受講することで、身体診察・フィジカルアセスメント・臨床推論の力がつく!
そもそも特定行為とは・・
特定行為研修を受けた看護師が、手順書に基づき患者さんの状態などを判断し、
必要な対象であれば特定行為が実施できる制度です。
特定行為研修でどんな事を学べるの?
共通科目を紹介
- 臨床病態生理学
臨床解剖学・病理学・生理学
- 臨床推論
臨床診断学・検査学・症候学・疫学
- フィジカルアセスメント
身体診察・診断学(演習あり)
- 臨床薬理学
薬剤学・薬理学
- 疾病・臨床病態概論
主要疾患の臨床診断・治療
- 医療安全学
特定行為実践におけるアセスメント、仮説検証、意思決定、検査・診断過程
- 特定行為実践
特定行為関連放棄・患者への説明、意思決定支援・手順書の作成・演習・評価
特定行為でどんなことができるのか
特定行為21区分
- 呼吸器(軌道確保)関連
- 呼吸器(人工呼吸器)関連
- 呼吸器(長期呼吸療法)関連
- 循環器関連
- 心のうドレーン管理関連
- 胸腔ドレーン管理関連
- 腹腔ドレーン管理関連
- ろう孔管理関連
- 栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル関連)
- 栄養に係るカテーテル管理(抹消静脈カテーテル関連)
- 創傷管理関連
- 創部ドレーン管理関連
- 動脈血液ガス分析関連
- 透析管理関連
- 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
- 感染に係る薬剤投与関連
- 血糖コントロールに係る薬剤投与関連
- 術後疼痛管理関連
- 循環動態に係る薬剤投与関連
- 精神及び神経症状に係る薬剤投与関連
- 皮膚損傷に係る薬剤投与関連
もっと詳しく知りたいかたは、以下厚生労働省のリンク
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077098.html
私は、15番と16番の特定行為研修を学びました。
精神科では、20番もおすすめです!
(自施設での活用やこれから目指す分野で選択すれば良いと思います)
この記事では、15番・16番に絞って特定行為を説明します。
15 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
- 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量調整
- 脱水徴候に対する輸液補正
精神科ではどんな場面があるか
拒食の患者さんや水中毒症の患者
精神疾患で消化器疾患がある患者
多量の下痢症状が継続している患者
集団作業療法 野菜作り、畑を耕すなどプログラム中に熱中症になる患者など・・
16 感染に係る薬剤投与関連
- 感染徴候のある者に対する薬剤の臨時投与
精神科ではどのような場面があるか
細菌性感染症での抗菌薬投与
経管栄養チューブが挿入されていて、自己抜去後誤嚥性肺炎患者
汚染した手で皮膚をかきむしり、化膿した皮膚感染症
抗精神薬の副作用で尿閉後、カテーテル留置後尿路感染
例:発熱がある誤嚥性肺炎を繰り返す認知症患者への介入(わかりやすく説明すると)
このような考え方ができてくる。(カルテで情報を取る)
原病歴 | いつから発生しているか、経過日数は?、急激な発症か緩やかな発症か?、症状は繰り返しているのか、バイタルサインの変動
年齢・性別・身長・体重 |
---|---|
薬歴・検査結果 | 内服薬や緩下剤、抗菌薬投与歴
培養検査、血液・尿・胸部レントゲン検査 ウイルス検査の有無 |
既往歴 | 糖尿病、心疾患、腎疾患 |
生活歴 | タバコは何年ぐらい吸っていたか、お酒は?、家族の面会は・・ |
意識レベル | GCS:グラスコーマスケール(通常時の値と症状がある場合の値の違い) |
ベッドサイドでは、どのように身体診察を考えるか
自発的な症状の訴えが通常できない、問診でも正しい情報が聞けない場合は、頭から足先までフィジカルアセスメントをやってみる。
感染症の視点からまず診てみる
部位 | どんな病気を疑うか | 身体診察 |
頭 | 髄膜炎 | 項部硬直はないか(首が前・後・左右に動かない)
痛みはないか |
眼瞼 | 心内膜炎・貧血 | 点状出血はないか、眼瞼粘膜の色は何色 |
鼻腔 | 副鼻腔炎 | 副鼻腔周囲を触れてみる、痛みはないか
濃性鼻汁は出ていないか |
口腔内 | 細菌やウイルス
A群溶連菌・麻疹など |
咽頭は赤いか、白い粒々はついていないか
粘膜に水疱はないか、咳はないか |
頸部 | 細菌やウイルス | 頸部のリンパ節は腫れてないか
甲状腺の形状に左右差、形状異常はないか |
胸部 | 肺炎・肺塞栓・気胸 | 呼吸音 副雑音はないか 左右差 呼吸数 |
心臓 | 心内膜炎 | 心雑音はないか |
腹部 | 胆嚢炎、虫垂炎、膵炎、腹膜炎、巨大結腸症 | 腹部聴診、触診
マーフィー徴候やマックバー二圧痛はないか |
背部 | 尿路感染・肛門周囲膿瘍 | CVA叩打痛はないか、肛門周囲に膿瘍や褥瘡はないか |
膝・関節 | 偽痛風・膠原病 | 関節の腫脹・発赤 |
四肢 | ショックの判断 | 抹消皮膚は、暖かいか冷たいか |
皮膚 | 脱水・電解質異常
褥瘡 |
浮腫(圧痕性・非圧痕性)ツルゴール反応なし |
精神科ではSOFAスコアが揃うのに時間がかかるため、まずはq SOFAを活用
まとめ
特定行為研修を学ぶと、医師の診察思考を学ぶことができる。
医師が到着する前に医師の欲しい情報を看護師が取ることが可能
早期に異常を発見することができる
精神科感染対策への第1歩
病床数、患者数は多いのに医師数は少ない。医師の負担も大きい、特定行為の実施に注目が集まるが、その一歩前の感染症症状を見つけることも有用である。
派手さはないが、異常を早期に見つけて医師へバトンを繋げることも、私が特定行為研修で学んだことです。