DPATとは
- 災害派遣精神医療チーム
- Disaster Psychiatric Assistance Team
- 自然災害や事故、などの大規模災害等の後、被災地域に入り、精神科医療及び精神保健活動の支援を行う専門チーム
では、DPAT職員が被災地に到着する前にどのような情報収集や感染対策が必要なのか?
結論
・災害発生前の感染対策準備
(情報収集・感染症持ち込み防止対策・個人防護具着脱・手指消毒実技教育)
・災害発生後の感染対策
(感染症集団発生予防・被災者個人の感染症を早期に発見する)
・災害時の感染症と対策について理解する
災害前の感染対策
災害の状況に応じた感染対策
- 地震
- 津波
- 台風
- 大雨
- 水害
- 火災
- 感染症
⑦は、どの災害とも関連してくる。
・公衆衛生の基盤状況(上下水道・電気・ガス等)
・住民の健康状態(栄養状態・感染症罹患率)
・予防接種率(定期・任意ワクチン)
・季節に流行している感染症(インフルエンザ・ノロウイルス)
・地域で流行している感染症(Covid19・デング熱等)
災害が発生したら、現地の感染情報を把握する
以下サイトより、災害時の感染対策ガイドラインや地域での感染症流行状況を把握することができます。都道府県の感染情報については地域や保健所管轄で地域流行に違いがある場合があります。災害の発生場所が都心や山間部(過疎地)での発生では感染症の流行状況や物資の補充なども時間を要することもある。
- 被災地に移動する前に情報を取れると便利です。
- 国立感染症研究所H P
- htpps://www.niid.go.jp/ja/disaster.html
- 日本環境感染学会
- http://kankyokansen.org/modules/news/index-php?content_id=407
- 厚生労働省災害時の対応
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage _00346.html
- 各都道府県の感染情報
- 国立感染症研究所H P
47都道府県の感染情報サイトを記載できれば便利です。
災害後に問題となる感染症と発症時期
DPAT職員のワクチン接種
災害発生前に、ワクチン接種状況を把握しておきましょう。
以下サイトを参考に、検討してはいかがでしょうか。
医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版・第3版
日本環境感染学会
http://www.kankyokansen.org/uploads/files/jspc/vaccine-guidline%EF%BC%BF03.pdf
・新型コロナワクチン
・インフルエンザウイルスワクチン
・麻疹・風疹ワクチン
・破傷風トキソイドワクチン
・HBV型肝炎ワクチン
災害時の感染症と対策について理解する
- 外傷・汚水・汚泥を原因とした感染症
- 避難所で3密・集団生活による流行しやすい感染症
- DPAT職員が被災地に持ち込みやすい、被災地で罹患しやすい病原体
感染症に罹患すると重症化する人を理解しておく
・65歳以上の高齢者
・腎臓疾患(人工透析患者)
・心臓病・肺疾患
・糖尿病
・免疫抑制剤内服中(抗がん剤・ステロイド)
・妊婦・小児
感染症になりやすい環境であり、罹患すると重症化する人を理解しておくと
問診や面接中に確認が行いやすいと思います。
災害後の感染症は時間軸で状況が変化する
- 発生直後(災害特異的な感染症
- 発生1週間以内(集団生活における感染症)
- 発生1ケ月以内(衛生環境悪化による感染症)
発生直後から76時間の問題点
・外傷等による一次感染リスク
・水が使用できない可能性、消毒薬不足
・個人防護具が不足
・診断検査手段が不足
土壌や環境水への接触と感染症
瓦礫の撤去や、復旧作業における感染予防
瓦礫の撤去などで手や足に傷ができやすい
皮膚の傷による感染症に注意する(蜂窩織炎)
対策:傷を負わない手袋や靴を準備や破傷風ワクチン接種
東日本大震災・津波後感染症Version2より抜粋した資料です。
避難所での感染リスク
どのようなものがあるか
- 呼吸器感染リスク
- 水系感染リスク
- 消化器感染(大量調理等)
- 生活用水の枯渇、排泄物・廃棄物感染リスク
- 集団感染リスク
避難所の感染対策を考える
- ホールに大人数が収容されている
- 個別の収容は可能なのか
- 各家族の距離は近いのか(1m以内)
- 施設内は、土足禁止か
感染症になると重症化しやすい人の割合は?
- 乳幼児は何人
- 小児(5歳以下)
- 高齢者(65歳以上)
- 妊婦
- 上下水道は、使用可能か
- トイレ後、手洗いは可能か
- 手洗いの水は、バケツ・タンク・水道のどれを使用しているか
- トイレは水洗式か
- トイレの清掃は行われているか
- 次亜塩素酸ナトリウムが消毒薬が準備されているか
- 嘔吐物の処理は適切か
- おむつなどの廃棄物は適切か
- 調理者の手指衛生(消毒)は可能か
- 調理器具を洗うことが可能か
- 食器類の数は十分か
- 食器類を洗うことができるか
- 空調等による換気が可能か
- 窓を開けることが可能か
- 石鹸はあるか(液体・泡・固形)
- アルコール消毒剤の設置はあるか
- マスクは使用可能か
- 消毒薬は使用可能か
- 体温計は、使用可能か
- 発熱者(例:体温37.5°以上)
- 呼吸器症状がある方(咳・肺副雑音・鼻汁・くしゃみ)
- 消化器症状がある方(下痢・嘔吐)
- 発疹がある方
- 身体介護を有する方
- 認知症状のある方
- 身体障害者で援護を有する方
- 知的障害者で援護を有する方
- 精神疾患を抱え、服薬中の方
- 人工肛門のある方
- 尿道留置カテーテルが挿入中の方
- 糖尿病でインシュリン自己注射をされる方
DPAT隊員の皆様に役立つ内容を作成してみました。
このような情報が災害と同時に自動で情報が取れる仕組みが必要と考えています。アプリなどがあれば便利だな・・と
後半は、実際に避難所等で感染症を見つける内容について作成して行きます。