感染対策

アルコール依存症と感染対策

アルコール依存症の感染対策で困っていませんか?

精神科施設で勤務していると、アルコール依存症の患者さんが入院している。

コロナが流行しているけど、アルコール消毒剤が使用しにくいな・・

患者さんに微熱や吐き気があるけれど、これはアルコールの離脱症状なのかな・・

感染症かアルコール依存症の症状なのかわからない・・・

どうすれば良いのか

結論:感染症の検査 ➕ アルコール依存症の症状を理解する

そもそもアルコール依存症とは

精神依存:渇望により自らコントロールができない状態

身体依存:アルコール飲酒中止で離脱症状が出る状態

  1. 機会飲酒:宴会や週末などお酒を飲む機会がある際の飲酒
  2. 習慣性飲酒:晩酌や寝酒など習慣になっている飲酒
  3. 少量分散飲酒:仕事の合間など、1日の間で繰り返す飲酒
  4. 持続性深酩酊飲酒:飲んでは眠り、冷めては飲む飲酒

 

アルコール離脱にはどのような症状があるか
  • 発汗や頻脈(自律神経系過活動)
  • 手指の震え
  • 不眠
  • 吐き気や嘔吐
  • 幻覚や錯覚
  • 精神運動興奮
  • 不安
  • 全般性強直間代発作
ウェルニッケ・コルサコフ症候群

長期かつ多量の飲酒によりリスクが増加する。

ウェルニッケ脳症:眼球運動障害・運動失調・意識障害

コルサコフ症候群:健忘・記憶障害・失見当識・作話(作り話)

肝臓の機能障害が起こると
  1. タンパク質の合成能、代謝処理能力低下
  2. 肝性脳症 👉 門脈圧亢進 👉 出血傾向 👉  肝腎症候群 👉 全身性合併症
  3. 体液が溜まりやすくなる
  4. 電解質異常(低Na血症・低K血症)

このような症状が発生することある。

どのようなことに注意が必要なのか

職員・患者共にアルコールによる消毒が実施しにくい

患者さんは、手の消毒ができないため 👉  手が汚染する  👉  感染しやすい

離脱症状期には、微熱などが発生し感染症との判別が難しい

*依存症の場合喫煙率も高い事が多く、患者がマスクを外す機会が多い

感染対策の工夫

  • 水道水と液体石鹸での手洗い指導を取り入れる(トイレ後・食事前など)
  • アルコール消毒が実施できる患者とできない患者を区分けし、対策も分ける
  • 身体合併症の評価(血液検査 肝機能 腎機能等)
  • 頭部CT・MRIでの脳萎縮評価

 

患者さんと一緒に行う手洗い教育

アルコール消毒の代替えとなる消毒剤を使用する(環境整備時)

フィジカルアセスメントや感染症検査を活用し、感染性の症状か離脱症状か判断する

 

精神科感染対策の第一歩

精神科感染対策のEBMや参考者はまだ数少ないが、患者さんは目の前に存在している。

アルコール依存症の患者さんにできる感染対策を考えていきたい。

 

 

 

 

ABOUT ME
spring
感染管理認定看護師・特定行為研修終了者 精神科施設で感染対策に従事。 精神科感染対策の難しさに直面、EBM・参考書も少ない中、同じ悩みをもつ人へ情報を提供したい。 感染対策でお困りの際は、ご連絡お願いいたします。 困っているテーマをブログで記事にしていきたいと思います。 X@sprig00761727(アカウント更新しました!)