第7波ピークで
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今回、多くの精神科施設はクラスターを経験していると思います。
クラスターを経験した施設のノウハウがあれば、その経験・工夫が
次の感染症対策に活用できます。
今回のクラスターでの学びを共有できれば幸いです。
どのような問題があるのか
例 クラスター事例
応援に来た職員が感染し、陽性となる。
他の病棟で新たなCOVID19職員・患者が発生し、
同時に複数の病棟、組織横断的に移動する職員の陽性など
重複する問題が同時に発生する。(多重課題)
職員が陽性者や濃厚接触となり、人員が不足する。
クラスターが発生すると、2週間程度感染対策に時間がかかる。
そもそも、人員が少ない上、業務量は増加してしまう。
負のスパイラルに陥る。
この記事を読むことで、精神科クラスター感染対策のヒントになる。
結論
- 精神科施設でのクラスター事例の問題点と改善点を学ぶ
- 患者さんの集団活動を早期に止める
- 初期対応・時間外・土日の対応を強化する
クラスター事例の問題点と改善点
音声入りの動画を作成しました。
👇
土日・時間外発生時のクラスター発生対策を検討しています。
こちらは、PDFです。
👇
PDFは、音声はありません。
Covid19 感染伝播期間の考え方
- 症状発生の48時間前よりウイルスを排出している
- ウイルス排出のピークは
- 発症後10日程度ウイルスを排出する
患者さんの症状が出る2日前より
感染症は広がっていることを認識する。
初発患者さんが、2日間どのような行動や接触があったのか
患者さんと患者さんの接触
患者さんと職員の接触の情報が必要です。
クラスター発生をエクセルでグラフにする
以下、エクセルシートに発生数を入力するとグラフが使用できます。
エクセルで1度シートを作成しておくとデータの振り返りができます。
感染対策の振り返りや評価が行いやすい。
- 日付
- 病棟名
- 患者発生数
- 職員発生数
- 職種別発生数
- どのエリア(場所)発生したのか
google スプレットシートの活用
電子カルテなどがない施設では、以下
情報を共有する上では、google スプレットシートの方が便利です。
- google アカウント作成しページへアクセスする
- 氏名・パスワードを入力
- 画面の指示に従って進む
- 作成(表計算など)
メリット | デメリット |
携帯での情報共有が可能 | googleアカウントが必要 |
無料で活用できる | 個人情報に注意が必要 |
その他便利な機能
Web上で、情報共有が可能
複数人での同時編集が行えるため、作業時間が短い
自動で保存される。
エクセルと同等の作業は可能、スマホで管理できる。
クラスターを振り返り・次に活かす
今回、クラスターを経験して感じたことは、集団行動を一時的にとめ
感染対策に協力を得られない患者さん同士が接触しない環境を早期に
準備することが、結果クラスターの規模が少ない。
集団生活場面
- 食堂での食事・おやつ
- ホールでのテレビ鑑賞
- ホールでの娯楽活動(雑誌・将棋やオセロ等)
- 入浴
- 集団作業療法
- 患者さんの移動(徘徊やトイレ)
- 共有トイレのカーテン
- ホールでの水・お茶サーバー
- 陽性者が発生したら、職員はN95マスク・ゴーグル・長袖ガウンを着用し患者を個室まで誘導する。
- 汚染用エリア用の鍵・拘束帯物品・アルコール消毒剤の入るポシェットを着用する。
- 集団活動を停止する
- 患者さんに説明後、ホールのテレビを消し、各病室に誘導する
- ゾーニングテープを使用し、レッド・イエロー・グリーンゾーンを作成
- 感染性廃棄物の設置
- 共有する娯楽物品の使用を一時的に中止する
- 食事は、可能な限り病室で対応する
- 誤嚥・窒息には注意する(リスクがある場合は再検討)
- 可能な範囲で食器類をディスポに変更する
- ホールの共有水・お茶サーバーを一時的に中止
- ペットボトルや紙コップを活用する
- 役割分担の明確化(アクションカード)
Covid19 発生時のアクションカード
アクションカードを作成すると、業務の分担が可能です。
Covid19陽性者が発生すると、病棟師長さんに電話が殺到します。
各担当者が役割分担し、優先度の高い順に作業を行うことが効率的です。
アクションカードは、施設の特性・職種に応じて作成すればよいと思います。
アクションカード例
病棟医師
- 発生状況の確認、病院管理者へ報告
- 病棟師長と情報共有(転院・転棟・ゾーニング)
- 職員・患者への説明(集団活動の停止・病室で過ごすこと等)
- 基礎疾患のある患者の把握
- 治療の判断
病棟師長
- 状況の確認、病棟医長・病院管理者・感染対策者に報告・相談
- 情報共有
- 接触者確認(発症前2日からの行動・接触状況)
- 職員の勤務調整
- 職員への検査連絡
リーダー看護師
- スタッフを集める
- N95マスク・ゴーグル・長袖ガウン・手袋着用説明
- スタッフ指示(患者誘導担当者・ゾーニング担当者・初動セット)
- 休憩場所・時間の分散指示(リスク分散)
- 集団活動停止・ゾーニング終了後病棟師長へ報告
スタッフ看護師
- N95マスク・ゴーグル・長袖ガウン・手袋装着
- 患者への説明後集団活動を停止する。
- ホールでのテレビ・娯楽物品を止める
- 病室へ患者誘導
- 初期対応セットにてゾーニングを開始する
事務職員
- 病棟師長から連絡を受ける
- 必要なN95マスク・ゴーグル・長袖ガウン・手袋を病棟に運ぶ
- その他物品(ゾーニング物品・検査キット等)を運ぶ
- 患者・職員用の水・お茶(ペットボトル等の準備)を運ぶ
- 感染性廃棄物の運搬・動線確認
栄養・病院食部門担当者
- 病棟師長から連絡を受ける
- ディスポ食器へ変更する
- 配膳担当者・配膳車の固定
- 配膳車の清掃指示
- 配膳トレーの管理説明
清掃担当者
- 病棟師長より指示を受ける
- 清掃エリアの確認
- 専用清掃物品の区分け(ドライモップ・環境クロス等)
- N95マスク・ゴーグル・長袖ガウン・手袋装着
- 自身の健康状態確認
事務担当者
- 病棟師長・感染対策者と情報を共有
- 発生状況の確認、発生者のデータ入力
- 緊急会議の準備(Zoom会議など)
- 議事録作成(データベース・共有LINE活用)
- 病院管理者との調整
薬剤部担当者
- 病棟医長より、治療薬必要数を聞く
- 治療薬の準備、在庫量、入荷日程確認
- 消毒薬量確認(アルコール消毒剤等)
- 治療薬の運搬
リハビリ担当者
- 病棟師長と共に発生状況の確認
- 集団OT活動を止める
- 患者・職員の検査結果を確認
- ゾーニング確認後、リハビリの優先順位を検討
- 個別リハビリ活動の検討
心理士担当者
- 病棟師長と発生状況の確認
- 接触者の確認
- 患者・職員のメンタルケア
- メンタルケア優先度の検討
- 中間管理者へのフォロー
施設管理者
- 状況確認
- 臨時会議の検討
- 地域の感染対策連携機関へ相談
- 感染対策方針の決定
- 情報の開示(ホームページなど)
クラスター発生時の個人防護具着脱の工夫
問題点として
- 物品を汚染ゾーンに沢山出していまい、整理整頓ができない(物品が多い)
- 職員個人により個人防具着脱経験に差がある
- 職種によっては、N95マスクの着用を知らない
- ゴーグルやN95マスクの保管方法がわからない
工夫した点
- 物品の置き場所を置き方カードを設置
- 物品設置写真を撮り職員へ周知
- 順番とおりに個人防具を着脱する
- 物品を必要最低限におく(物品が多いと汚染する回数が増加)
個人防護具着脱カード資料について
着脱手順を印刷して壁に貼り、全ての部署で同じ手技で実施する
順番PPT
まとめ
- クラスターをデータに残し評価する
- 問題点を明確にし、次の第8波に備える
- クラスター事例から感染対策を学ぶ
精神科感染対策の第1歩
クラスター事例をデータ化することが
後に精神科施設の感染対策EBMにつながると
思います。
第7波でクタクタですが、精神科施設のBPC
をクラウド上で持ち寄り、検討できれば
いいですね。
失敗から学ぶことは多い!